◆第17 戦前日本の徴兵制度
(2009.05.23作成)

 戦前の日本は徴兵制を敷き国民皆兵であり、対象年齢となった男子はすべて徴兵検査を受けなければならなかった。
 徴兵制の起源は、明治6(1873)年布告の徴兵令にまでさかのぼり、幾多の変遷を経て、太平洋戦争時には昭和2(1932)年4月1日制定の兵役法によった。

 兵役法では、兵役の区分を常備兵役・後備兵役・補充兵役・国民兵役とし、常備兵役は現役と予備役に分かれ、補充兵役と国民兵役はおのおの第一・第二に別れた。兵役法に規定された各兵役の年限と定義は次の通りである。
●常備兵役
現役と予備役を合わせた称で、旧制の常備軍にあたる。
(1)現役
 徴兵検査に合格し且つ指名を受け入営した兵、即ち甲種合格した者と徴兵検査で身体"健"と判断(乙種第一)され特に志願或いは抽籤に当った者及び実役定限年齢に未だ到達していない将校・下士官をさす。一般に現に軍務に就いている軍人をさし、現役を離れ予備役・後備役或いは退役した軍人を在郷軍人や退役軍人と称した。兵の現役年限は陸軍2年、海軍3年で、下士官以上は或る一定の年齢までが現役期間としてその年齢に到達した時に予備役編入となる。その一定年齢とは、憲兵を除く下士官・准士官は40歳まで、憲兵下士官は45歳、憲兵准士官48歳。士官は兵科によらず少中尉45歳・大尉48歳・少佐50歳・中佐53歳・大佐55歳・少将58歳・中将62歳・大将65歳。階級ではないが、元帥府に列せられた陸海軍大将は終身現役の栄誉にあずかった。

※帰休兵
現役兵の定員が余剰になった時、兵の一部を現役のまま在営期間を短縮して帰郷させた制度。法的には単に帰休兵だが、現役の身分である事を強調して俗に現役帰休兵ともいう。

(2)予備役
 現役を終了した軍人が服し、年限は陸軍5年4月・海軍4年。後に昭和16年11月に改正され、後備役が廃され予備役と合一し、陸軍15年4月・海軍12年と変わる。予備役にある軍人は、毎年一回の簡閲点呼や勤務演習を受け、在郷軍人会の入会を義務付けられた。現役人員に欠員が出た時は現役の余剰人員である帰休兵の次に召集される。下士官の予備役期間は7年で終了すると第一国民兵役となる。士官は5年間予備役に服し、以後は退役となる。予備役に在る者の席次は現役の次とし、階級はそれぞれの階級呼称に「予備」を冠し「予備陸軍大佐」の様に称する。
●後備兵役
 常備兵役を終えた者が服す役で、予備役の次にあたる。旧制の後備軍で、後備兵役は一般には単に後備役と称する。昭和16年11月の改正によって後備兵役は予備役と合一し廃される。
●補充兵役
第一補充兵役と第二補充兵役を合わせた呼称。該当者は何れも徴兵検査に於いて現役に適するとされた者。合格基準の乙種第二にあたる。

(1)第一補充兵役
 陸軍では徴兵検査に合格したものの指名を受けず、入営しなかった者が服す兵役。兵役法制定時の服役年限は陸軍12年4月で、昭和14年に改定され17年4月。海軍は常備兵役を終った者が対象となり、期間は1年。第一補充兵とも言う。

(2)第二補充兵役
 陸軍では徴兵検査の時点で現役・第一補充兵役に充当されなかった者が対象で、服役年限17年4月。海軍では第一補充兵役が終了するとこれに服し、当初は11年であったが昭和14年改定により年限は16年4月。第二補充兵とも言う。
●国民兵役
第一国民兵役と第二国民兵役を合わせた分類。
(1)第一国民兵役
 常備兵役と補充兵役を終了した者が服する。

(2)第二国民兵役
 年齢17歳以上45歳迄の者で常備兵役・補充兵役・第一国民兵役に服さなかった者が対象となる。徴兵検査基準の「丙種」と判定された者がこれにあたり、その基準は「身体上極めて欠陥の多い者」をいう。徴兵検査では甲種・乙種が合格で、丙種は一応合格、丁種・戊種が不合格だったが、戦局が悪化し末期になるとこの一応合格の身体上極めて欠陥の多い者までも戦地に送られた。

兵役の期間は陸軍と海軍で異なり、原則として下記のように定めた(第5条~第7条)

(現役・予備役・後備兵役)
*陸軍 現役2年・現役終了後に予備役5年4か月・常備兵役終了後に後備兵役10年(通算17年4か月)
* 海軍 現役3年・現役終了後に予備役4年・常備兵役終了後に後備兵役5年(通算12年)

(補充兵役)
*陸軍 第一補充兵役12年4か月
*海軍 第一補充兵役1年間・第一補充兵役終了後に第二補充兵役11年4か月(通算12年4か月)
* 現役適格者のうち、現役兵又は第一補充兵に徴集されなかった者 第二補充兵役17年4か月

その他、各種の事情により兵役期間の短縮・延長がなされることを定めた(第10条~第22条)

(徴兵検査)
満20歳に達した男子は誰もが徴兵検査を受けることが義務付けられた。4月~5月頃に通知が届き地域の集会所や小学校で検査が行われた。検査に合格した者は翌年の1月10日に各連隊に入営する事となる。
徴兵検査の年齢は戦局の悪化による兵員不足に対処するため、1943年には満19才、翌44年には満18才に引き下げられた。

・甲種
 身体が特に頑健な者
 ⇒優先的に現役入隊
・乙種(第一乙~第三乙)
 身体が普通の者
 ⇒現役が足りない場合、抽選で現役入隊
 ⇒抽選にもれた者は補充兵役へ
・丙種
 体格や健康状態が極端に劣る者
 ⇒第二国民兵役へ
・丁種
 聾唖者・盲目者・精神遅滞者
 ⇒兵役免除
・戊種
 いずれにも該当しない者
 ⇒徴集延期

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