●独裁官(dictator)


(共和政時代)
 国家の非常事態に任命される官職。任期は6ヶ月。定員1名(同僚制の例外)。執政官のうちの1人が指名するだけで成立するとされるが、事前に元老院での審議了承のもとに、執政官が執行したらしい。任務の重要性から、執政官クラスの経験・能力の豊かな者の中から選ばれるのが常であった。リクトールの数は24名と最多。
 政体を変えること以外については、あらゆることに決定権を持ち、だれにも独裁官の決定を拒否できない。設立当初は、独裁官就任後、すべての政務官は職を退いたが、後には、すべての政務官は職にと留まったまったまま独裁官の命令下に置かれるもののとした。また、副官に当たる「騎兵長官」を、そのものの一存で任命できる権限を持つ。この意味でも、ほぼ王政時代の王(rex)そのものであった。
 このような巨大な権限を有する官職のため、共和政移行期からケルト族来襲期(前504年〜前390年)までに、わかっているだけでも7回しか指名されておらず、前202年以後就任したものはいなかった。(ただし、共和政末期にはスッラ及びカエサルが「国家再建のための独裁官」と称して就任したが、任期が無期限であったことなどから、上記独裁官とは性質が異なり、区別されるべきものである)。

◇独裁官に就任した人のリスト(一部) 
年  氏名 理由 備考
前501年 マニウス・ヴァレリウス サビーニ族襲来のため 初の独裁官
前499(496)年 アウルス・ポストゥミウス
前458年 ルキウス・クィンティウス・キンキナートゥス
前396年 マルクス・フリウス・カミルス エトルリア都市ウェイイ攻略のため。
前390年 マルクス・フリウス・カミルス ケルト族襲来
前367年 マルクス・フリウス・カミルス
前356年 ガイウス・マルキウス・ルティルス 平民出身の初の独裁官
前302年 ガイウス・ユニウス・ブブルクス・ブルトゥス
前217年 ファビウス・マクシムス トラシメヌス湖の戦いでハンニバルに敗北
(前81〜前80年) (ルキウス・コルネリウス・スッラ)


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